中小企業経営者や個人事業主の多くは、事業を成長させるためにさまざまな戦略を考えます。しかし、その中でも最も重要なことは、事業の現状を数字で正確に知ることです。数字は事実に基づき、客観的な視点を提供します。言葉ではいくらでもウソをついたり、曖昧にできますが、数字はウソをつきません。本記事では、事業の成長を実現するために、なぜ現状を数字で正確に知ることが重要なのか、そしてその理由を示します。
理由1:効果的な意思決定の判断材料となる
事業を運営する際、戦略や方針の決定は日常的に行われます。しかし、これらの意思決定に基づく情報が不正確であれば、誤った方向に進む可能性が高まります。数字で事業の現状を正確に把握することは、合理的かつ効果的な意思決定の基盤となります。
私のお客様であった事例では、売上データの活用があります。
ある製造業者で、得意先に提供する商品ラインナップの戦略を見直すことを検討していました。売上や原価データを分析し、売れ筋商品と低利益率商品を比較します。その結果、特定の商品が利益を生み出していることが明らかになり、他の利益率が低い在庫を削減し、注力すべき商品を拡大する決定を行いました。このデータを活用した商品ラインナップの見直しにより、利益率の高い商品の販売量が増え、利益率が低い商品の在庫を減らしたため利益率がアップしました。
理由2:リソースの効率的な配置
中小企業のリソース(時間、資金、人材など)は限られています。数字で事業の現状を正確に把握することは、リソースを最適かつ効率的に配置する手助けとなります。無駄なコストを削減し、収益を最大化するためには、どの部門やプロセスが効果的であるかを知ることが不可欠です。
私のお客様であった事例では、事業の縮小があります。
ある経営者様は、カフェやレストラン、移動販売やコンサルティングなど複数の事業を同時並行で行っていました。どれも新規事業で一つ一つの売上や利益が小さく、全ての事業が中途半端でした。売上や利益の月次推移をみて、伸びる見込みがない事業をやめ、伸びる見込みがある事業に時間とお金を集中させることで、利益を伸ばすことができました。
理由3:成長の機会を特定
成長するためには、新たな機会を特定し、活用する必要があります。数字に基づく情報をもとに、市場のトレンドや競合状況を正確に評価し、新たな市場セグメントや顧客層を見つけることができます。また、過去のデータを分析することで、成功した戦略や失敗した戦略から学び、今後の戦略を改善できます。
例えばインバウンド向け新商品があります。
お客様の一人当たり購入金額が、日本人より外国人の方が高く、インバウンドの観光客が増加する場合、外国人向け商品を作った方が売上や利益のアップが見込めます。
事業を成長させるためには、たくさんの戦略やアイデアがありますが、そのすべての基盤となるのは「現状を数字で正確に知ること」です。数字に基づく情報は、効果的な意思決定、リソースの効率的な配置、成長の機会の特定に不可欠です。中小企業や個人事業主は、データを利用した経営戦略を取り入れ、事業を成功に導くための儲かる基盤を築くべきです。