はじめに
「過去の数字に意味がない。だから見ない」
こう話す中小企業の社長に、私はこれまで数えきれないほど出会ってきました。
確かに、過去は変えられません。
しかし、会社が伸び悩む原因の多くは、まさにその“過去の数字”の中に埋もれています。
数字を見ないということは、事業改善のヒントを自ら見逃しているのと同じです。
今回は、実際の顧問先での事例も交えながら、
「数字と向き合うことが、いかに事業を伸ばすか」をお伝えします。
よくある社長の言葉「数字は意味がない」
中小企業の社長からよく聞くのは、こんな言葉です。
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「数字は過去だから意味がない」
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「売上は感覚で分かるから大丈夫」
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「税理士に任せてるから自分は見ていない」
一見もっともらしい言葉に聞こえます。
しかし、この考え方こそが、事業が伸びない大きな理由になっています。
なぜなら、過去の数字を見なければ、原因も改善策も見つからないからです。
売上不振の原因は「数字」に出ている
私の顧問先でも、同じような状況がありました。
売上が2年連続で減少している会社の社長が、こう言いました。
「市場が縮小してるから仕方ない」
そこで私は、過去2年分の売上データをお客様ごと・商品ごとに整理し、分析を行いました。
すると驚くべき事実が見えたのです。
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売上が減っていたのは、特定の既存顧客数社だけだった
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しかも、その会社は毎年少しずつ発注を減らしていた
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一方で、他の顧客はむしろ売上が伸びていた
つまり、全体の売上減少は「市場縮小」ではなく、特定顧客の離反が原因だったのです。
数字が教えてくれる改善策
この分析をもとに、次の対策を立てました。
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発注が減っていた会社を重点訪問し、関係改善策を実施
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既存顧客へのフォロー体制を強化
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利益率の低い商品を縮小し、売れ筋に注力
結果はどうなったか?
半年後には売上が前年を上回り、利益率も改善しました。
この社長も「数字を見たら、こんなに手を打てるんだ」と驚いていました。
数字は「過去」ではなく「未来の行動指針」
数字を見ることは、単なる過去の確認ではありません。
数字をもとに原因を掘り下げ、改善策を決めることで、未来の行動が変わります。
数字から逃げる社長は、勘と経験だけで経営してしまいます。
一方で、数字と向き合う社長は、次の一手を数字が教えてくれる状態になります。
まとめ|数字と向き合う社長ほど事業は伸びる
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事業がうまくいかない原因は、過去の数字に埋もれている
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数字を見れば、改善策は必ず見えてくる
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数字を見ることは、過去ではなく「未来の行動」を決めること
数字は、会社の成績表であり、未来への地図です。
過去の数字に意味がないのではありません。
数字を無視することが、会社にとって一番の損失なのです。
数字から逃げず、数字を武器にする。
それが、事業を伸ばす社長の共通点です。