多くの中小企業が直面する「融資の交渉」。 銀行と話すとなると、「金利を下げてもらえないか?」という話になることが多いです。しかし、ここには多くの誤解と“もったいない交渉”が存在します。
9割以上の会社が金利ばかりを気にしている
実際に、多くの会社が銀行との交渉でまず言うのが「もう少し金利を下げてくれませんか?」というお願いです。
もちろん、金利が安くなるに越したことはありません。ですが、現実的にはがんばって交渉しても下がって0.1%程度。1000万円の借入に対して年間1万円の違いです。
たった1万円のために、貴重な交渉カードを使ってしまうのは非常にもったいない。
実は交渉すべき「もっと大きな条件」がある
融資条件の中で、実はもっと重要な交渉ポイントがあります。 それが以下の3つです。
1. 返済期間を伸ばす
返済期間が伸びれば、毎月の返済額が下がり、資金繰りが格段にラクになります。
たとえば、3000万円の融資を5年返済と10年返済で比較すると、 月々の返済額には数十万円の差が出ます。
この返済余力こそが、次の投資や運転資金のゆとりを生むのです。
2. 経営者保証を外す
経営者保証とは、会社が返せなくなったときに、社長が個人で返済責任を負うというものです。
この保証がある限り、万が一事業が失敗したときに、社長個人の人生にも影響が出ます。
逆に経営者保証が外れれば、事業に集中でき、心理的にもチャレンジしやすくなります。
3. 担保を外す
不動産や設備を担保に入れることで、借入が通りやすくなることもありますが、担保があると資産を自由に動かせなくなるデメリットも。
成長フェーズでは、「担保なし」で借入できる信用力のある状態を目指すべきです。
実際にどうやって交渉するのか?
僕の顧問先では、多少金利が上がっても、返済期間を長く設定したり、経営者保証・担保を外す交渉を行っています。
ポイントは、「経営計画」「資金繰り表」「直近の決算書」などを根拠に、会社の安定性と成長性を伝えること。 銀行もビジネスです。信用できる会社には、柔軟に対応してくれます。
最後に|銀行から言われたまま借りていませんか?
「銀行に言われたから」「断られるのが怖いから」と、条件をそのまま受け入れていませんか?
実は、銀行の“提案”は“決定”ではありません。交渉すれば、条件は変えられます。
資金繰りを改善し、事業の成長に集中するためにも、一度借入条件を見直してみてください。
ご自身での交渉が難しい場合は、専門家のサポートを受けるのも有効です。私も公認会計士として、融資の戦略的活用を支援しています。