経営者のあなたに、ひとつ質問です。
「あなたの会社の売上が10%増えると、利益は何%増えますか?」
多くの方がこう答えます。
「売上が10%増えるなら、利益も10%くらい増えるんじゃないの?」
実はそれ、危険な誤解です。
なぜなら、会社の利益は「費用構造(固定費と変動費)」によって、大きく増減するからです。
■ 正しい理解のために、具体例で見てみましょう
ある会社の決算は、こうなっています。
項目 | 金額 |
---|---|
売上高 | 1億円 |
変動費(60%) | 6,000万円 |
固定費 | 2,500万円 |
営業利益 | 1,500万円 |
→ このときの営業利益率は 15%(=1,500万 ÷ 1億)
売上が10%アップしたら?
売上が 1億円 → 1億1,000万円(1.1億) に増えたとします。
変動費も同じく60%なので、6,600万円になります。
固定費は変わらず2,500万円。
新しい営業利益はどうなるでしょう?
1億1,000万円 − 6,600万円 − 2,500万円 = 1,900万円
■ 比較すると?
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元の営業利益:1,500万円
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売上10%増後の利益:1,900万円
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利益の増加額:400万円
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増加率:26.7%(=400万円 ÷ 1,500万円)
◎ここがポイント!
売上が10%増えただけで、利益は26.7%も増えています。
なぜか?
→ 固定費が変わらないからです。
売上が伸びた分の「限界利益」が、そのまま利益に貢献しているからです。
■ 決算書が読めると、経営が変わる
この違いを「肌感」ではなく「数字」で理解できるようになると、経営判断の精度がまったく変わります。
たとえば、
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どれだけ売上を増やせば、利益がいくら増えるか?
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固定費をあといくら削減すれば、黒字になるか?
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今、新たな投資をしてもいいか?
こういった意思決定が、「感覚」から「確信」へ変わるのです。
■ 最初の一歩は「質問すること」
もしこの質問に「10%でしょ?」と思ったら、今日から変わりましょう。
「うちの会社、売上が10%増えたら、利益は何%増える?」
この質問を、顧問税理士さんや財務の専門家にぜひ聞いてみてください。
■ 結論
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売上10%増 → 利益は約27%増
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ポイントは「固定費が変わらない」こと
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決算書を読めれば、経営の未来が見えてくる
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数字は社長の一番の味方になる
数字は、敵ではありません。
数字は、社長の意思決定を支える参謀です。