社長(田代さん):「川村先生、ウチ今期は売上も悪くないんだけど、なぜかお金が全然残らないんだよね。口座の残高も減ってるし…。」
会計士(川村):「なるほど。売上が出てるのにキャッシュが減ってるってことは、“お金が会社の中で止まってる”状態ですね。」
田代社長:「止まってる?どういうこと?」
川村:「たとえば、在庫っていくらくらい抱えてますか?」
田代社長:「えーと…仕入れたままの分も含めると、たぶん2,000万円分くらいはあると思う。」
川村:「その在庫、実は“現金が倉庫で寝てる状態”なんですよ。」
在庫=お金が商品に姿を変えたもの
田代社長:「いやいや、でも在庫があれば売れるじゃない?」
川村:「もちろん売れる前提ではあります。でも、在庫は“まだお金になっていない資産”です。お金を払って仕入れたのに、まだ会社に戻ってきていない。」
田代社長:「なるほど…ってことは、現金がモノに変わって倉庫に置いてあるってことか。」
川村:「そうです。しかも、その在庫が長く残っているほど、“回収までの時間”が長くなる。つまり、資金繰りが苦しくなる原因になるんです。」
在庫が多いと、こんな損がある
川村:「実際、在庫が多すぎると3つの“損”が発生します。」
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資金繰りが悪化する
→ 現金が動かないので、他の投資や支払いができなくなる。 -
管理コストが増える
→ 保管場所、棚卸、人件費…“持っているだけでコスト”がかかる。 -
劣化・陳腐化のリスクがある
→ 食品や流行商品は時間が経つと価値が下がる。
田代社長:「確かに…ずっと売れ残ってる古い商品、値引きしても出ないんだよなあ。」
在庫は“少ない方が儲かる”
川村:「売上が増えても、在庫が増えすぎると会社にお金が残りません。だから大事なのは、“売れる分だけ仕入れる・作る”という在庫管理の精度です。」
田代社長:「でも、売れすぎたら困るから、ちょっと多めに用意しちゃうんだよね。」
川村:「わかります。けれども、“安心のために在庫を抱える”ことが、会社のお金をどんどん圧迫してるんです。
それより、“売れ筋の回転を早める”とか“仕入れタイミングを調整する”ほうが、キャッシュが残る会社になります。」
まとめ:在庫が多い=現金が眠っている
田代社長:「在庫が多いと損って、今までピンときてなかったけど…、現金が商品に変わって動かなくなってるって考えると、たしかに怖いね。」
川村:「その通りです。倉庫に積んである商品を“売れる未来の現金”ではなく、“まだ戻ってきてない出費”と捉えると、考え方が変わります。」
田代社長:「わかった。在庫の見直し、さっそく現場と話してみるよ。」
川村:「ぜひ!在庫を適正化するだけで、資金繰りは大きく改善しますよ。」